2026/10/23 09:35

この記事の結論

建築物衛生法は特定建築物の相対湿度を40〜70%とし、空調の加湿装置は1か月以内ごとに点検、1年以内ごとに清掃と定めます。置き型機器のフィルター交換周期の規定はありません。

  • 特定建築物:店舗・事務所等で延べ3,000㎡以上(第1条学校等は8,000㎡以上)
  • 2022年4月改正:一酸化炭素6ppm以下、温度の下限18℃に
  • 湿度の不適率は平成8年度約20〜35%→平成27年度40〜60%(厚労科研)

出典:建築物衛生法・同施行令・同施行規則(e-Gov法令検索)、厚生労働科学研究 平成28年度報告書、厚生労働省資料、帝国データバンク(2026年4月)

ビル管理・清掃会社の担当者向けに、建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)の空気環境の管理基準、加湿装置の点検・清掃の頻度、2022年4月の改正点、そして湿度の基準を満たしていない建物が増えているデータをまとめました。あわせて、管理物件やテナントにある空気清浄機・加湿器のフィルターを一括で手配するときの段取りも紹介します。

ビル管理の空気環境基準と加湿装置の点検(説明図)

特定建築物と努力義務の範囲

建築物衛生法の管理基準が「義務」になるのは特定建築物です。施行令第1条では、次の用途に使う部分の延べ面積が3,000㎡以上の建物とされています(学校教育法第1条の学校・幼保連携型認定こども園は8,000㎡以上)。

  • 興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場
  • 店舗、事務所
  • 第1条学校等以外の学校(研修所を含む)
  • 旅館

特定建築物の所有者等は管理基準に従って維持管理「しなければならない」(法第4条第1項)一方、特定建築物以外で多数の人が使う建物は、同じ基準に従って維持管理を「するように努めなければならない」(同条第3項・努力義務)とされています。厚生労働省の資料によると、特定建築物は全国に47,273か所(2020年度末)、建築物衛生法の登録営業所は延べ18,282か所あります。

なお、病院・診療所・介護施設・保育所は、施行令の用途に含まれていません。これらの施設は、それぞれの感染対策の手引きやガイドラインを根拠に管理します。

空気環境の管理基準(施行令第2条)

項目基準
浮遊粉じんの量0.15mg/㎥以下
一酸化炭素6ppm以下(2022年4月1日から。改正前は10ppm)
二酸化炭素1,000ppm以下
温度18℃以上28℃以下(2022年4月1日から。改正前の下限は17℃)
相対湿度40%以上70%以下
気流0.5m/秒以下
ホルムアルデヒド0.1mg/㎥以下

空気調和設備がある場合は7項目すべてが対象です。機械換気設備のみの場合は、温度と相対湿度は適用されません(施行令第2条第1号ロ)。2022年4月の改正では、一酸化炭素と温度の下限のほか、建築物環境衛生管理技術者の兼任に関する規定が見直されました。相対湿度・二酸化炭素・浮遊粉じんの基準は変わっていません。

加湿装置の点検・清掃の頻度(施行規則第3条の18)

空気調和設備に組み込まれた加湿装置については、施行規則で次のように定められています。

  • 点検:使用開始時と、使用を開始した後1か月以内ごとに1回、定期に汚れの状況を点検し、必要に応じて清掃等を行う。
  • 排水受け:空気調和設備内の排水受けも、使用開始時と1か月以内ごとに1回、汚れと閉塞の状況を点検する。
  • 清掃:加湿装置の清掃を1年以内ごとに1回、定期に行う(冷却塔・冷却水の水管も同じ)。
  • 水:加湿装置に供給する水は、水道法第4条の水質基準に適合させる。

ここで定められているのは「点検」と「清掃」の頻度です。空気清浄機や加湿器のフィルターを何か月で交換するかを法令で定めたものはなく、交換の時期は機器の取扱説明書に従います。

湿度の不適合が増えている

厚生労働科学研究の平成28年度報告書は、全国の特定建築物の立入検査結果を分析し、相対湿度は空気環境6項目の中で最も不適率が高く、建物全体の不適率は平成8年度の約20〜35%から平成27年度には40〜60%まで上がったと報告しています。データには季節の区別がなく、冬の低湿度による不適率はさらに高いと考えられる、とも書かれています。同じ報告では、二酸化炭素の不適率も学校と事務所で大きく上がり、平成8年度の10%程度から平成27年度には37%になりました。

特定建築物で「湿度」の不適合が増えている(相対湿度の基準(40〜70%)に適合しなかった割合の範囲(%))

図:相対湿度の不適率は、平成8年度の約20〜35%から平成27年度の約40〜60%へ上昇。

国立保健医療科学院の資料(平成30年度の研修会資料)でも、冬季の低湿度の問題と加湿調整が十分でないことが課題として挙げられています。乾燥する季節に入る前に、加湿装置やテナント内の加湿器が正しく動いているかを確かめておくことが、基準を守るための第一歩です。

現場は人手不足、作業と発注をまとめる

帝国データバンクの2026年4月の調査では、メンテナンス・警備・検査の業種で正社員が不足していると答えた企業が65.9%、非正社員が不足しているとした企業が55.5%でした。全業種の正社員不足(50.6%)を大きく上回っています。

建物サービスの現場は人手不足が深刻(従業員が「不足」と答えた企業の割合(2026年4月、%))

図:メンテナンス・警備・検査の業種は、正社員65.9%・非正社員55.5%が「不足」。

人が足りない現場では、点検のたびに部品を個別に探して発注していると手間が積み重なります。管理物件ごとに次のような一覧を作っておくと、点検と部品の手配を一度に済ませやすくなります。

物件・フロア機器(本体型番)交換部品の型番前回交換次回予定
A ビル 3F 会議室加湿空気清浄機 ○○集じん・加湿フィルター記入取扱説明書の目安から
B ビル 1F 受付加湿器 ○○抗菌気化フィルター記入シーズン前

型番の調べ方は「フィルターの型番の調べ方」、部品ごとの交換目安の例は「客室の加湿空気清浄機のフィルター管理」をご覧ください。

当店で扱っているもの・扱っていないもの

当店の商品は、会議室・受付・休憩室などに置く据置型の空気清浄機・加湿器・浄水器・掃除機の互換フィルターです。空気調和設備に組み込まれた加湿装置やダクトの部材は扱っていません。

KAFP029A4 集塵・2074191 脱臭・KNME017C4 加湿フィルター 単品・セット選択可 ダイキン対応 互(当店の互換品)

互換品を選ぶときの確認点は「互換フィルターの品質の見分け方」で解説しています。

よくある質問

Q. 3,000㎡未満のテナントビルにも基準は関係ありますか?

特定建築物でなくても、多数の人が使う建物は管理基準に従うよう努める義務があります(法第4条第3項)。

Q. 空気清浄機のフィルター交換も法定点検に含まれますか?

施行規則が定めているのは空気調和設備の加湿装置などの点検・清掃です。置き型の空気清浄機・加湿器のフィルター交換は、各機器の取扱説明書に従ってください。

Q. 3,000㎡未満のテナントビルにも管理基準はかかりますか?

特定建築物でなくても、多数の人が使用・利用する建物は、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理するよう努める義務(努力義務)があります(建築物衛生法第4条第3項)。

Q. 空調設備の加湿装置の点検・清掃の頻度は?

施行規則では、空気調和設備に組み込まれた加湿装置は、使用開始時と使用開始後1か月以内ごとに1回点検して必要に応じて清掃し、清掃は1年以内ごとに1回行うと定められています。供給する水は水道法の水質基準に適合させます。

Q. 病院や介護施設は特定建築物ですか?

病院・診療所・介護施設・保育所は、施行令の特定建築物の用途に含まれていません。これらの施設は、それぞれの感染対策の手引きやガイドラインを根拠に、空気環境や加湿器を管理します。

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※当店の商品は互換品であり、各メーカーの純正品ではありません。記載のメーカー名・型番は対応機種を示すためのものです。対応機種は各商品ページでご確認ください。